乳がんの定義
がんはどうやって起こるのか
そもそも、がんはどのようにして起こるのでしょうか?
現在までの研究では、遺伝子に傷がついて起きる病気であるといわれています。それは、更に先天的に遺伝子が傷ついている場合と、生活しているうちに遺伝子が傷つく場合に分けられます。
乳がんの大部分は、紫外線・放射線・薬物・環境ホルモンなどといった、種々の環境因子によって遺伝子に傷がついて起こるということと、エストロゲンという女性ホルモンの影響が大きいと考えられています。
遺伝子の変化はいつ起こるか予測できません。ただ言えることは、なるべく早く乳がんを発見したほうが、遺伝子変化がひどくなる前に治療を開始することができることです。
乳がんにならないようにすることが不可能である現在、乳がんは遺伝子の病期であるという考え方からも、早期発見がいかに重要であるか、皆さんにご理解いただきたいと医療従事者は願っています。
乳がんの定義 その1 正常な細胞とがん細胞の違い 1
正常な細胞とがん細胞の違いは大きく分けてふたつです。
正常な細胞もがん細胞も細胞分裂を繰り返しながら増殖していきます。ただし、正常な細胞は、ある段階まで来ると細胞分裂をしなくなり、役割を果たして死滅していきます。それに対しがん細胞は無限に増殖します。放っておけば宿主(がん細胞が寄生している生物)が死ぬまで増殖をやめません。
乳がんの定義 その2 正常な細胞とがん細胞の違い 2
正常な細胞とがん細胞の違い、ふたつ目とは、正常な細胞は集団でしかいきられませんので、決められた場所から移動することができません。しかし、がん細胞は1個でも生きられます。たった1個でも、もともとの組織を離れ、血液やリンパの流れに乗り、流れ着いた場所に着床し、そこで新たに1個が2個に2個が4個にと増殖していくことができます。
乳がんの定義 その3 がん細胞 浸潤と転移
がん細胞の浸潤とは、増殖をやめないで周囲の組織にどんどん入り込んで広がることをいい、転移とは、遠くの臓器まで旅をして、たどり着いた先で増殖することをいいます。浸潤と転移があることが、がん細胞と正常な細胞の大きな違いです。
乳がんの定義 その4 乳房について
乳房は皮膚の付属器官です。男性や、未成熟な女性の乳房がふくらみのない皮膚であることを思えば、理解できることでしょう。
乳房は乳腺組織と脂肪から構成されています。次の項では、乳腺組織をブドウにたとえて説明します。
乳がんの定義 その5 乳腺組織について
以下この項では乳腺組織をブドウにたとえて説明します。
母乳を分泌する乳腺細胞の集まりを腺房といいます。腺房はいわばブドウのひと粒ひと粒にあたります。腺房が集まったものが小葉と呼ばれる部分で、これはブドウの房と考えるといいです。小葉から乳頭まで母乳を運ぶ管が乳管(腺管)で、これはブドウを食べ終わった後に残る細かく枝分かれした茎の部分です。普通、乳腺(ひと房のブドウ全体にあたります)が乳頭を中心に放射状に15~20個並んでいます。この全体を乳腺組織と総称しているのです。
乳がんの定義 その6 乳がんの内訳
乳がんとは、乳腺組織に発生したがんのことです。乳腺組織の一部の細胞の遺伝子が、さまざまな要因を積み重ねて変異し、がん細胞となって増殖したものが乳がんとされています。
乳がんのほとんどは、小葉を出てすぐの乳管(腺管)の基底膜(別項参照)の上皮細胞が増殖するという形で発生してきます。腺房及び乳管の内側は1層の上皮細胞で成り立っています。ここが増殖して内腔の方に向かって細胞が密になっていきます。つまり通り道が狭くなっていくのです。これが乳管がんです。
乳がんには小葉から発生するものも5~10%あり、これは小葉がんと呼ばれています。
乳がんの定義 その7 浸潤
乳管がんも小葉がんも、浸潤したり転移したりするためには、がん細胞が乳管上皮を包んでいる基底膜を超えなければなりません。乳管内あるいは小葉内にとどまっているがんを非浸潤がんといいます。これは、再発や転移を起こす可能性のほとんどない、性質のいいがんです。非浸潤がんと診断がつけば手術で99%治癒します。
基底膜
がんと関わると、どこのがんでも必ず出てくることばなので、覚えておくようにしましょう。
乳がんに限らず、すべてのがんは、上皮細胞の異常増殖です。上皮細胞を乗せている膜を基底膜といいます。上皮ではなく間質から発生した悪性腫瘍は、肉腫といいます。
授乳のしくみ
妊娠すると女性ホルモンの作用で乳腺が発育し、出産すると乳汁分泌ホルモンが働いて、乳腺は母乳を作り始めます。赤ちゃんが乳頭に吸い付くと、その刺激で乳腺の周囲の筋組織が収縮し、母乳を搾り出すというしくみになっています。
石灰化
後の項で詳しくやりますが、ここで石灰化について書いておきます。
乳管の中にがん細胞が密集してくると、中心部分のがん細胞まで栄養が届かず、栄養がもらえないがんは細胞は壊死します。壊死したがん細胞に、乳腺組織内のカルシウムが沈着して起こるのが乳がんの石灰化です。ただし石灰化はがん以外の原因で起こることも多く、石灰化=乳がんではありません。
マンモグラフィーは乳がんのしこりを見つけるだけではなく、もうひとつの目的に「X線で乳管の中に潜む異常な石灰を見つけることがあります。
再発・転移とは?
再発には局所再発、領域再発、遠隔転移(臓器転移)があります。
局所再発は手術や放射線治療などをした部位に再びがんが発生した場合をいいます。乳房を全部切除した後の皮膚や皮下に発生した場合を胸壁再発といいますが、これも局所再発に分類されます。ただし、温存療法後の残存乳房に発生する再発とは異なり、胸壁再発は多くの場合、遠隔転移を伴います。 領域再発とは、乳房近くのリンパ節(領域リンパ節)にあった微小転移が成長した場合をいいます。これも局所再発に分類されることがあります。
局所再発が起こるのは、手術時には目や検査で確認することのできないほど微小ながんが潜んでいて、時間の経過とともに育ってくるからだと考えられています。
遠隔転移は離れた臓器で再発した場合をいいます。乳がんでは骨、肺、肝臓、脳などへ転移することが多いとされています。肋骨や鎖骨などの近いところでも、分類としては遠隔転移です。
がんが最初に発生した場所を原発巣(げんぱつそう)と言います。
局所再発は、再手術、放射線治療、抗がん剤の投与などで治癒する可能性があります。
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