乳がんの危険因子

乳がんの危険因子

乳がんの危険因子 その1 どんな人がかかりやすいか

 乳がんの危険因子を列挙してみます。 1. 初潮が早い 2. 月経周期が規則正しい 3. 月経周期が短い 4. 閉経が遅い 5. 出産未経験(含む未婚) 5. 高齢出産経験がある 7. 社会的な階層が高い(高学歴) 8. 太っている 9. 家族に乳がんの人がいる 10.両性の乳腺疾患の既往 11.子宮体がん、卵巣がんの既往 12.長期間ホルモン補充治療を受けている 13.片側が乳がんになった 14.多量の飲酒 次の項からは、これらをいくつかのグループに分けて、とりあげていきます。

乳がんの危険因子 その2 エストロゲン

 前項で挙げた項目のほとんどに女性ホルモン「エストロゲン」が関係しています。乳がんの多くはエストロゲンがなければ成長できません。そのことは、男性や、若いときに両側の卵巣(エストロゲンはここでつくられる)を摘出してしまった女性には、乳がんにかかる率が極めて少ないことからもわかります。

乳がんの危険因子 その3 月経とエストロゲン

 初潮が早い  月経周期が規則正しい   月経周期が短い  閉経が遅い  以上の4つは月経に関係しています。たとえば統計的にいって、白人はアジア人より乳がんにかかりやすいのですが、それは、白人がアジア人より初潮が早く、閉経が遅いからです。月経の期間はエストロゲンがたくさん作られ、体内のエストロゲン濃度が高くなり、乳腺もそれだけエストロゲンにさらされます。

乳がんの危険因子 その4 出産経験との因果関係

 出産未経験  出生率の高かった昔は、4人5人と子供を産んでいました。その間月経はないわけですから、エストロゲンにさらされる期間はその分だけ短くなり、乳がんにかかるリスクも低かったのです(後の項でこれについて書きます)。非婚や少子化などのライフスタイルの変化は、日本の女性がエストラゲンにさらされる期間を延ばした、長くなったことを意味しています。  そして、単に月経の回数の問題ではなく、授乳経験のない乳腺は、乳がんになりやすいことが知られています。出産しても、乳腺炎や早期の職場復帰などで赤ちゃんに母乳を与えなかった場合も、乳がんの頻度が高いと言われています。

乳がんの危険因子 その5 高齢出産のリスク

 高齢出産   妊娠すると、乳腺組織が急激に発達しますが、その時期が遅いと乳がんになりやすいと説明されています。

乳がんの危険因子 その6 脂肪と乳がんの関係

 社会的な階層が高い(高学歴)  肥満  乳がんは都市部に多い病気ですが、田舎よりも都会の方が、社会的な階層が低いよりも高い方が、やせている人より太っている人の方が、脂肪の摂取量が多いです。  実は脂肪摂取量は乳がんと関係ないという報告があり、議論になっています。しかし、閉経して卵巣機能が衰えた後、エストロゲンは脂肪組織にある男性ホルモンが女性ホルモンに変換される形で供給されます{あとの項で出てきます)。閉経前でも危険因子と考えるのが妥当でしょう。

乳がんの危険因子 その7 既往歴

 良性の乳腺疾患の既往  子宮体がん・卵巣がんの既往   片側が乳がんになった  乳腺症の一部には乳がんとの関連が指摘されているものもあり、乳腺症の経験がある人は注意が必要です。そして、乳がんでなくともエストロゲンを原因とする子宮体がんなどにかかったことのあるひとは乳がんにかかる確率が高くなるのは当然です。乳がんの経験者が再び乳がんになる確率は乳がん未経験者の5倍といわれているのです。

乳がんの危険因子 その8 ホルモン補充療法

 長期間、ホルモン補充療法を受けている  子宮体がん、卵巣がん、乳がんの既往と同様に、エストロゲン(またはプロゲステロンとの併用)を補充しているのですから、乳がんにかかりやすくなります。

乳がんの危険因子 その9 飲酒・喫煙と乳がん

 多量の飲酒  ここでは飲酒とともに喫煙も取り上げましょう。リスクを高めるとされているものと、関係ないとするものがありますが、ときどき飲むだけの人や、日本酒1合もしくはビールやワイン1杯程度の量では関係ないようです。  ただし、多量の飲酒は影響があるという報告のほうが多く、1日平均2杯以上になる飲酒は、乳がん予防の点でも、それ以前に肝臓などの健康の点でも避けた方がよさそうです。  アメリカの調査では、喫煙は乳がんとは無関係という結果が出ています。しかし、つい最近、日本の厚生労働省は、閉経前の女性は喫煙によって乳がんになるリスクが吸わない女性の約4倍になると発表しました。受動喫煙でも2.6倍になるというのです。閉経後の女性については喫煙と乳がんの関係ははっきりしなかったと報告しています。

女性ホルモンとは?

 ホルモンは代謝を調節することで、身体をいつも良好な状態に保つ働きをしています。女性ホルモンを分泌するのは卵巣で、女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。エストロゲンは全身の細胞と子宮内膜に作用して、女性の第二次性徴を促します。プロゲステロンは子宮内膜に働きかけ、妊娠に適した状態にします。

妊娠が乳がんのリスクを下げる理由

 妊娠では一定の期間、高濃度の女性ホルモンにさらされます。しかし、それにもかかわらず、妊娠が乳がんのリスクを下げるのは、高濃度すぎる女性ホルモンは逆に、乳腺細胞の増殖を抑制するからではないかと考えられています。

ゲールモデル

 自分が乳がんにかかるリスクがどのぐらいあるかをを知ることは、乳がん予防につながります、医療側から言えば、ハイリスクの人をどうやって選別するかが問題になります。  あめりかには22万人以上のデータを基に作られたゲールモデルというものがあります。一種の計算式ですが、たとえば53歳、初潮年齢が11歳、初産が32歳、家族歴は2人、というようなファクターをゲールモデルにあてはめると、5年以内に乳がんを発症するリスクが8%という具合に出てきます。その数字が一定の基準を越えた人は、予防的なホルモン療法が許可される、というような仕組みになっています。  



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