術前化学療法
従来の方法
手術でがんを切除した後に抗がん剤を投与するのは、薬が効いているのかいないのかがわかりにくいという欠点がありました。再発してはじめて効果がなかったというのでは困ります。
そこで、手術前に抗がん剤を投与し、がんが小さくなるかどうか、つまりその腫瘍の薬剤感受性(薬が効くかどうか)をあらかじめ調べようという方法が開発され、主に炎症性乳がんや病期(ステージ)ⅢBの進行乳がんに対して行われてきました。これが従来の術前化学療法です。
最近の術前化学療法
最近の術前化学療法はこれまでのものと違います。乳房温存療法が難しいと思われる大きさの乳がんに対して、手術前に抗がん剤治療を行い、温存療法が可能な大きさにまでがんを縮小させようというのが、最近の術前化学療法です。当然、薬剤感受性も同時に知ることができます。
誤解しないで欲しいこと
術前化学療法によって乳房温存療法の頻度が6%上昇したという報告があります。ただし。術前化学療法をした患者さんすべてが、温存療法を使うわけではないので誤解しないでください。がんが縮小しない人、あるいは縮小の仕方が手術に適合しない人もいます。
術前化学療法の更なる躍進
2004年6月、驚くべき研究結果が報告されました、抗がん剤の組み合わせや投与のタイミングを工夫して術前化学療法を行ったところ、治療を施した乳がん患者の65.2%の腫瘍が完全に消失して、手術が不要になったというのです。
これはトラスツズマヅ(製品名ハーセプチン)とアンスラサイクリン系のファルモルビシンおよびタキサン系のタキソールと呼ばれる抗がん剤を併用したものですが、トラスツズマヅとアンスラサイクリン系の組み合わせは、従来は心不全などの副作用があるので併用は避けるべきだとされていました。それがなぜ副作用がなかったのか、現在、安全性と有効性の確認作業が行われているということです。
乳がん治療の未来
もしかしたら、乳がんは切らずに治せる、手術不要の時代が来るのかもしれません。少なくとも、あるタイプの乳がんは切らずに治せるかもしれないと、大きな期待が寄せられています。
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