術後のリハビリテーション

術後のリハビリテーション

術後よくある不快な症状

 あるアンケート調査によれば、乳がん手術後、7割以上の人が何らかの不快な症状を経験しています。内訳を見ると、「手術した胸のあたりの痛み」「肩や腕の動かしにくさ」「こあばり、つっぱり感」「手術した方の腕の感覚異常、感覚が鈍くなる感じ」「胸の辺りに鉄板が入っているような感じ」などを多くの人があげています。

リンパ浮腫

 乳房切除そのものによる痛みやつっぱり感などは、時間がたてば軽くなるのですが、問題になるのは腋窩リンパ節郭清によるリンパ浮腫、つまりリンパ節を覚醒した側の腕がしびれたりむくんだりする後遺症です。これはリンパ節郭清によって、腕の末端から心臓に向かうリンパ液の流れが阻害されるために起こります。通常は、副行路というバイパスが自然にできるのですが、それがうまくいかないと、リンパ液が腕に溜まってしまうのです。しびれたり感覚が鈍くなるのは、郭清の際に多少なりとも神経を切ったり傷つけたりするためです。

リンパ節郭清の副作用と対策

 リンパ節には細菌感染を防御する「関所」の役目があるので、感染症にかかりやすくなります。そのため、土いじりや潮干狩りの際などには必ず手袋を着用する、または過度の日焼けをしないようにするなどの注意が生涯にわたって必要になります。
また、むくみを感じたら、指先から肩のほうに向かってさすり上げるようなマッサージを行うのが効果的です。
リンパ浮腫の予防と治療については後の項で順々に紹介します。

リハビリの開始期 その1

 術後のリハビリをいつから始めるかという問題については、考え方に変遷があります。ひと昔前は、動かすと出血する、とか、リンパ液の漏れが止まらなくなる、などといわれ、手術後すぐではなく、1週間くらいたってから始めるのがよいとされていました。ところが、わきの下が癒着して硬くなり、動かしにくくなるので、なるべく早く始めたほうがよいということに考え方が変わったのです。

リハビリの開始期 その2

 最近では、温存療法やセンチネルリンパ節生検が普及し、リンパ節を切除する手術も減ったので、術後のリハビリもそう急ぐことはないということになっています。温存療法であれば、手術後4日目か5日目には腕を前方に120度まで上げることができます。そこまで上げられれば髪をとかすことができます。そんなに一生懸命リハビリをしなくても腕が上がらなくなるということはありません。

リハビリは根気よく

 しかし、胸の筋肉を切除し、リンパ節を郭精する手術を受けた場合は、やはりリハビリが必要です。いつから始めるかは医師と相談して決めてください。勝手に判断して始めるのは危険です。
 術後のリハビリは1日3回、1回10分程度が目安です。根気よく続けるのが大切で、張り切りすぎて、強く長くやりすぎるのはいけません。



   乳がんの基礎知識のTOPへ