3つの比較

3つの比較

 美容を含めた術後のQOL(生活の質)を重視した治療への変換を用意したのは、いくつかの大規模な臨床試験の結果でした。中でも決定的だったのが、1985年に発表された試験結果で、それによると、①乳房部分切除術 ②乳房部分切除術+残存乳房への放射線照射 ③乳房切除術(いわゆる全摘出)の3群比較をしたところ、3群ともに生存率に差はなかったというのです。つまり、大きく切除しなくてはならないとする根拠がなくなったのです。こうして乳房温存療法が確立されていくのですが、小さく切除するという治療法の流れを後押し、いや引っ張ったのは乳房を残したいという女性たちの当然過ぎる願いだったことは言うまでもありません。乳房温存療法は、2001年現在で全乳がん症例の約40%に行われており、現在はおそらく半数に達しているであろうことは、先に書いたとおりです。